
「大磯古道山道つなげ隊」発足の経緯
オダギリミホ
2020年。新型コロナウィルスの影響による夫の在宅勤務、子どもの小学校休校と、生活が一変する中で、時間のできた夫や子どもと裏山歩きを始めました。すると、幼少期から親しんでいるはずなのに、知らない魅力的な山道がいくつもあることに気づきました。そうなると、できるだけ舗装路ではなく山道だけを歩きたい、と思うものです。しかし、途中で藪に飲み込まれたり、私有地を主張するような柵やロープに遮られて通過できなかったりしてやむなく引き返すことも度々ありました。
当時、長い休校中の子どもたちは、近所の公園で遊ぶことすら白い目で見られるような雰囲気で、親も子も息がつまるようでした。そんな思いをしている親子が、近所の裏山を宝探しのような気分で楽しく歩けたら、という思いから地図を作り始めました。完成した地図は、大磯町と、大磯地方創生事業推進コンソーシアムの協力により2021年4月に町内全戸配布されました。
しかし地図製作の際に心残りだったのが、あの、途中で途切れていた山道だったのです。公図上で公道なら今の車社会になる前まで、もしかしたら大磯の縄文人も通行していたかもしれません。途切れて行き止まりになった道は空気が滞り、見捨てられて不法投棄の場所にもなります。あそこが繋がったら町内のあちこちがつながり、意外なところがご近所さんになってワクワクするようなことが起こるかもしれない。山道が縦横無尽につながれば、かつてのように日常的に利用することができるかもしれない。お友達の家に行く時や通勤にも山道を利用できたら楽しそう‥‥!
地図完成後、そんな妄想も膨らみ、公図上では道があるのに途切れてしまっているルートの中からまず一箇所、自分たちでできそうなところをつなげてみよう、と2022年3月、整備活動を始めました。